芭蕉俳句全集
(制作年代順)
寛文年間
延宝年間
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天和年間
貞亨年間
元禄年間
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延宝3年
町医師や屋敷方より駒迎へ
針立や肩に槌打つから衣
武蔵野や一寸ほどの鹿の声
盃の下ゆく菊や朽木盆
延宝4年
この梅に牛も初音と鳴きつべし
我も神のひさうや仰ぐ梅の花
雲を根に富士は杉形の茂りかな
富士の山蚤が茶臼の覆かな
山の姿蚤が茶臼の覆かな
命なりわづかの笠の下涼み
夏の月御油より出でて赤坂や
富士の風や扇にのせて江戸土産
百里来たりほどは雲井の下涼み
詠むるや江戸には稀な山の月
なりにけりなりにけりまで年の暮
延宝5年
門松やおもへば一夜三十年
大比叡やしの字を引いて一霞 大比叡やしを引き捨てし一霞
猫の妻竃の崩れより通ひけり
龍宮も今日の潮路や土用干
まづ知るや宜竹が竹に花の雪
待たぬのに菜売りに来たか時鳥
明日は粽難波の枯葉夢なれや
五月雨や龍頭あぐる番太郎
近江蚊屋汗やさざ波夜の床
梢よりあだに落ちけり蝉の殻
秋来にけり耳を訪ねて枕の風
唐黍や軒端の萩の取りちがえ
今宵の月磨ぎ出せ人見出雲守
木を切りて本口見るや今日の月
枝もろし緋唐紙破る秋の風
色付くや豆腐に落ちて薄紅葉
行く雲や犬の駆け尿村時雨 行く雲や犬の逃げ尿村時雨
一時雨礫や降って小石川
霜を着て風を敷き寝の捨子哉 霜を着て衣片敷く捨子哉
富士の雪慮生が夢を築かせたり
白炭やかの浦島が老の箱
あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁
延宝6年
庭訓の往来誰が文庫より今朝の春
甲比丹もつくばはせけり君が春
内裏雛人形天皇の御宇とかや
初花に命七十五年ほど
水向けて跡訪ひたまへ道明寺
あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ
水学も乗り物貸さん天の川
秋来ぬと妻恋ふ星や鹿の革
雨の日や世間の秋を堺町
実にや月間口千金の通り町
塩にしてもいざ言伝ん都鳥
忘れ草菜飯に摘まん年の暮
延宝7年
発句なり松尾桃青宿の春
歳旦
待つ花や藤三郎が吉野山
阿蘭陀も花に来にけり馬に鞍
草履の尻折りて帰らん山桜
蒼海の浪酒臭し今日の月
盃や山路の菊と是を干す
見渡せば詠むれば見れば須磨の秋
霜を踏んでちんば引くまで送りけり
今朝の雪根深を園の枝折哉
延宝8年
延宝年間