芭蕉db

蜘蛛何と音をなにと鳴く秋の風

(俳諧向之岡)

(くもなんと ねをなんとなく あきのかぜ)

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 延宝8年作。37歳。この年17句が現存する。

蜘蛛何と音をなにと鳴く秋の風

 『枕草子』第40段「虫は」からとった。「・・蓑虫、いとあはれなり。鬼のうみたりければ、「親に似て、これも恐ろしき心あらむ」とて、親の、あやしき衣ひき着せて、「いま、秋風吹かむをりぞ、来むとする。待てよ」といひおきて、逃げていにけるも知らず、風の音をきき知りて、八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあはれなり。」。もとより蓑虫も蜘蛛も鳴かない。