芭蕉db

あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ

(俳諧江戸広小路)

(あやめおいけり のきのいわしの されこうべ)

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 延宝6年、芭蕉35歳5月4日端午の節句前夜の作。この年12句が現存する。

あやめ生ひけり軒の鰯のされかうべ

 あやめを葺く五月。民家の軒にはアヤメが挿してある。その隣には、この春の節分に挿した鰯の頭がもはや髑髏のように白骨になっている。
 されこうべと言えば古来、小野小町のそれが有名である。彼女のされこうべの目のところからススキが生い出でて、それが秋風にヒューヒューと啼いていたというのである(謡曲『通小町』)。一句では、このススキをアヤメに代え、小町を鰯に替えてパロディーとした。談林風俳句。