芭蕉db
   不卜亡母追悼

水向けて跡訪ひたまへ道明寺

(俳諧江戸広小路)

(みずむけて あとといたまえ どうみょうじ)

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 一柳軒不卜は、本名岡村市郎右衛門で、江戸の俳諧師。これは、その母の追悼句だが、不卜自身の霊前に手向けた芭蕉の句「ほととぎす鳴く音や古き硯箱」もある。延宝6年、芭蕉35歳の時の作。この年12句が現存する。

水向けて跡訪ひたまへ道明寺

道明寺は、寺の名ではなく干飯=かれい(ほしい)の名前。大阪の道明寺という寺で開発されたとされてこの名がついた。夏季の季節食。乾パンだがこれに水をかけると食べられるようになる携行食でもある。不卜の母の霊前に干飯を上げて、水を手向けて、生前を偲ぼう。