芭蕉db
   不卜一周忌 琴風興行

ほととぎす鳴く音や古き硯箱

(陸奥鵆)

(ほととぎす なくねやふるき すずりばこ)

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 元禄5年4月9日。岡村不卜は前年4月9日に死去。芭蕉とは生前親しかった江戸俳人。いわば同業仲間。この一周忌の歌仙興行は不卜門人の琴風だったが、彼は後に其角の門人となる。以前、不卜の母の葬儀に告別の句「水向けて跡訪ひたまえ道明寺」を芭蕉は作っている。

ほととぎす鳴く音や古き硯箱

江戸時代の人々にとって硯箱はもっとも生活臭のする小道具であった。まして友人不卜が文人であれば商売道具でもありなおさらのことである。現代ならさしずめ故人作家愛用の万年筆と言った塩梅であった。
 なお、ホトトギスと郭公についてはここを参照。