芭蕉db

あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁

(俳諧江戸三吟)

(あらなにともなや きのうはすぎて ふぐとじる)

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 延宝5年、芭蕉34歳の時の作。『江戸三吟』は、芭蕉、伊藤信徳、山口信章(素堂)で巻いた三百韻。芭蕉は、この年に俳諧宗匠として立机(プロの俳諧師になること)したらしい。 『江戸三吟』の巻頭の3句

あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁  桃青

寒さしまって足の先まで       信章

居合抜きあられの玉や乱すらん    信徳


あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁

 河豚汁は河豚の味噌汁のこと。冬に食す。河豚を食うというからには、命に別状のあることも覚悟の上でなくてはならない。しかし、翌朝目覚めて昨日と同じ気分であれば、ほっとすると同時に、昨夜の多少の思いつめはばかばかしくもなるものである。