芭蕉db

発句なり松尾桃青宿の春

(知足写江戸衆歳旦)

(ほっくなり まつおとうせい やどのはる)


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 延宝7年、芭蕉36歳の初春の歳旦句。前年に芭蕉は俳諧宗匠として立机した。「桃青」という看板を下げて初めて迎えた新春の意気すこぶる軒昂ではある。
 この年芭蕉のものと確認される句
9句が現存する。

発句なり松尾桃青宿の春

 一年の初めは、歌仙にたとえれば発句のようなもの、いま、わたしの草庵にも春が来た。この正月は、私の俳諧人生の発句でもあるのだ。
 若さゆえではあっても自信を込めた力強い自己確立の句。青年芭蕉の密かな人生旅立ちの宣言。「
旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」と詠った辞世句と対照すると感慨も一入。