芭蕉db
   月

今宵の月磨ぎ出せ人見出雲守

(六百番俳諧発句合)

(こよいのつき とぎだせひとみ いずのかみ)

 

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 延宝5年、芭蕉34歳の時の作。芭蕉は、この年に俳諧宗匠として立机(プロの俳諧師になること)したらしい。この年22句が現存する。

今宵の月磨ぎ出せ人見出雲守

 人見出雲守<ひとみずものかみ>は、架空の人物らしい。想定は鏡の磨師である。出雲といったのは雲が出ることからの発案であろう。人見は、人が見る、自分が見るの意か?
 この月は八月十五夜の月。雲にかからずに真ん丸の一点の翳もない月を磨師の人見出雲守よ研ぎ出してくれ。なかなかリズム感のある典型的談林風俳句である。