芭蕉db

甲比丹もつくばはせけり君が春

(俳諧江戸通り町)

(かぴたんも つくばはせけり きみがはる)

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 延宝6年、芭蕉35歳の時の作。この年12句が現存する。

甲比丹もつくばはせけり君が春

 「甲比丹」はカピタン(Kapitein)で長崎出島のオランダ商館長のこと。この頃は、毎年三月朔日に将軍拝謁して献上物を届ける儀式が行われていたのである。「つくばわす」は「はいつくばる」/「ひれすこと」を表す動詞。
 この年もオランダ商館長の一行が江戸にやって来て将軍にひれ伏した。まことにめでたい新春であるというのである。現代人から見れば、国際感覚に乏しい能天気な句である。