芭蕉db

詠むるや江戸には稀な山の月

(蕉翁全伝)

(ながむるや えどにはまれな やまのつき)

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 延宝4年、芭蕉33歳の時の作。二度目の帰京の折、伊賀上野で見た月を、江戸の濁った月と比較しての感慨。この頃、江戸は既に100万都市、環境問題が存在したのである。なお、この伊賀帰郷の際の作品は7句残っている。

詠むるや江戸には稀な山の月

 江戸日本橋界隈からでは山は見えない。伊賀上野は山国で澄んだ秋の夜の月が山の端に上る姿は何ともいえない秋の風情である。こういう景色は江戸にはないもの。江戸と穢土をかけたとする解釈があるがうがち過ぎであろう。