芭蕉db
   富家らヒ肌肉きにくヲ丈夫菜根
   予乏し

雪の朝独り干鮭を噛み得タリ

(俳諧東日記)

(ゆきのあした ひとりからざけを かみえたり)

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 延宝8年、芭蕉37歳の作。深川第一次芭蕉庵にて。この年17句が記録されている。

雪の朝独干鮭を噛み得タリ

 詞書<ふかはきにくをくらひ じょうふはさいこんをきっす よはとぼし>にあるように、金持ちはおいしい肉を食らい、将来の出生にかけて頑張っている若者は菜っ葉や大根を食するという。さて、貧乏な俳諧師はこんな冬の雪の降った朝には何を食うかといえば、 貧しく干鮭をかんでいることだ。肩肘を張った深川独居の心境が吐露されている。