芭蕉db
   

白炭やかの浦島が老の箱

(六百番俳諧発句合)

(しろずみや かのうらしまが おいのはこ)

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 延宝5年、芭蕉34歳の時の作。芭蕉は、この年に俳諧宗匠として立机(プロの俳諧師になること)したらしい。この年22句が現存する。

白炭やかの浦島が老の箱

 炭には黒炭と白炭がある。黒炭はクヌギや楢などを竈で乾溜した後、酸素を絶って徐々に冷やして製造する。他方白炭は、乾溜後粉末や土を掛けて急速に温度を下げて作る。後者は茶の湯などに使われ高級な燃料であった。表面が白くコウを吹いたようになるところから白炭という。
 さて、一句は白炭はあっという間に白く出来上がることから、玉手箱を開けて瞬間に白髪になった浦島太郎の髪のようだという。