芭蕉db

悲しまんや墨子芹焼を見ても猶

(俳諧向之岡)

(かなしまんや ぼくしせりやき みてもなお)

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 延宝8年、芭蕉37歳の作。この年17句が記録されている。
 

悲しまんや墨子芹焼を見ても猶

 知識が前面に出た談林風。ここに墨子は、むかし墨子が白い練絹がいろいろに彩色されるのを見て悲しんだという故事をさす。いま、芹が焼かれて香ばしい香りを発散しながら料理されるのをみていて、墨子は悲しむのだろうか、それとも食欲をそそられるのであろうか。
 「芹焼」は、鴨の肉などを焼いて食べる焼肉だが匂いを消すために芹の葉などを一緒に加えて醤油で味付けする当時の特上料理。