いろいろの名もむつかしや春の草 (『ひさご』)
神迎水口だちか馬の鈴 (『猿蓑』)
知恵の有る人には見せじけしの花 (『猿蓑』)
人に似て猿も手を組秋のかぜ (『猿蓑』)
鳩ふくや澁柿原の蕎麥畠 (『猿蓑』)
高土手に鶸の鳴日や雲ちぎれ (『猿蓑』)
日の影やごもくの上の親すゞめ (『猿蓑』)
細脛のやすめ處や夏のやま (『猿蓑』)
いそがしき春を雀のかきばかま (『炭俵』)
さうぶ懸てみばやさつきの風の音 (『炭俵』)
名月や誰吹起す森の鳩 (『炭俵』)
とうきびにかげろふ軒や玉まつり (『炭俵』)
碪ひとりよき染物の匂ひかな (『炭俵』)
神送荒たる宵の土大根 (『炭俵』)
花散て竹見る軒のやすさかな (『続猿蓑』)
春雨や簔につゝまん雉子の聲 (『続猿蓑』)
山吹も散るか祭のふかなます (『続猿蓑』)
腰かけて中に凉しき階子哉 (『続猿蓑』)
名月の海より冷る田簔かな (『続猿蓑』)
秋空や日和くるはす柿のいろ (『続猿蓑』)
唐黍にかげろふ軒や玉まつり (『去来抄』)