年始御ことぶき事ども珍重:2月3日付の貴簡は15日に着いたが、その中で新年の祝詞を頂きました、ありがとう。
過ぎざることに候:珍碩の持病の眼病が快癒したというのは、何にも増してうれしい、の意。
春気にはのぼり申す時分にて御座候あひだ:春の気は、のぼせを招いて眼病には悪いといわれているから、の意。
食事も注意して大食は慎んだ方がよい、の意。
三つ物:歳旦帖を「発句・脇・第三」と3句を連句の形式としたものがあった。
愚案手ざはりよく写し候:「愚案」とは、芭蕉の提唱する「軽み」を指す。それを珍碩や去来はよく体得していると褒めている。
愚句歳旦、おのおの御褒美のよし:芭蕉の歳旦句を近江蕉門の人たちが賞賛したのは、「軽み」をよく理解しているからである。
ここもと門人:ここ江戸の門人達も、賞賛している、の意。
言へば是非の沙汰に落ち候へば:そのことを口に出して言えば、水掛け論にもなることゆえ、黙ってはいるが、・・・
貞春様:珍碩の母親。珍碩からの手紙に母の無事を伝えていたのであろう。
林甫丈:林甫は珍碩の伯父で近江蕉門の一人。丈は敬称。