芭蕉宛洒堂書簡

(元禄7年8月3日)

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さび鮎や川を寝て来て海の汐   探志

杉原の上に筆ちる星の陰

秋の日のくるわせにけり柿の色

ケ様に仕候。中々發句・付句共に勝而出不申候。近年、ケ様に致にくき事と覚不申候。之道も無事に被居申候。大坂も前句付に殊之外うすらぎ、宗匠手前會なども無御座候而、俳諧随分隙に御座候由承候。猶追々可貴意候条、早々申上候。以上

    八月三日                 洒堂

 


 大坂の洒堂から、伊賀に滞在中の芭蕉宛て書簡。 大坂の俳諧熱の沈滞を訴えているが、之道との対立の様子は「之道も無事に被居申候」というくらいでここには書かれていない。