飛び入りの客に手を打つ月見かな
畦道や苗代時の角大師 (『ひさご』)
日当たりにせせくりなかすうずら哉 (『猿蓑』)
猪に吹かへさるゝともしかな (『猿蓑』)
しがらきや茶山しり行夫婦づれ (『猿蓑』)
日の岡やこがれて暑き牛の舌 (『猿蓑』)
澁糟やからすも喰はず荒畠 (『猿蓑』)
月待や海を尻目に夕すヾみ (『猿蓑』)
刀さす供もつれたし今朝の春 (『炭俵』)
熨斗むくや礒菜すヾしき嶋がまへ (『炭俵』)
なぐりても萌たつ世話や春の草 (『續猿蓑』)
早蕨や笠とり山の柱うり (『續猿蓑』)
春の日や茶の木の中の小室節 (『續猿蓑』)
黙禮にこまる凉みや石の上 (『續猿蓑』)
実にもとは請て寐冷の暑かな (『續猿蓑』)
白雨や中戻りして蝉の聲 (『續猿蓑』)
飛入の客に手をうつ月見哉 (『續猿蓑』)
火の消て胴にまよふか虫の聲 (『續猿蓑』)
打こぼす小豆も市の師走哉 (『續猿蓑』)