さまざま御懇志、筆にも言語にも難レ盡被レ存候:<・・ごこんし、ふでにもげんごにもつくしがたくぞんぜられそうろう>と読む。あなたのお心遣いについては筆にも言葉にも表し尽くせません、の意。
偏々貴境旧里のごとくに被レ存候間:<ひとえにひとえにききょうきゅうりのごとくにぞんぜられそうろうあいだ>と読む。ここ膳所こそ、わたしの故郷伊賀のように思われて、の意。
立帰り立帰り御やつかひに成可レ申候:<たちかえり・・・なりもうすべくそうろう>と読む。これから伊賀に帰りますが、今後もここに何度でも戻ってきてご厄介になることでありましょう。
御袋様御懇意忝、態御暇乞不二申達一候間、能々御礼頼存候:<おふくろさまごこんいかたじけなく、わざわざおいとまごいもうしたっせずそうろうかん、よくよくおれいたのみぞんじそうろう>と読む。別れの挨拶をぬきにして帰郷する詫び言。
先々貴様御作意殊之外上達候間、無二油断一御勤、天下に名をいよいよ御ふるひ可レ被レ成候:<まずまずきさまおさくいことのほかじょうたつそうろうあいだ、ゆだんなくおつとめ、てんかに・・おふるいなさるべくそうろう>と読む。あなたは昨今俳諧が大変上達していますから、油断しないで今後も励み、その名を世間に奮ってください。
先□賀へ心指(志)候間、追付又可レ得御意候:<まずい(が)へこころざしそうろうあいだ、おっつけまたぎょういをうべくそうろう>と読む。伊賀から帰ったらまたお会いしましょう。