芭蕉db

正秀宛書簡

(元禄5年1月23日 芭蕉49歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


御袋様・御内・御子達、御無事御重年被成候哉*。八歳と有之は御むすめごと覚候。三つ物之御手柄之事は珍碩へ申送候。去冬乙州便り之節御細翰、巻返し申候。さてさて御なつかしく候。
百里へ御馳走ぶり*、見事成御仕かたとてたびたび申出し候。おほくの人々御芳志之程を能知り申候。
爰元盤子・桃隣一所に越年、打寄打寄御噂のみ申候*。漸あたゝかに成候に付ても、湖水之詠*、なつかしさまさる計に*御座候。愈風雅無間断御はげみ可成候*。大かた膳所風雅一所にさた有之候*。御ぬかり被成まじく候。
其元御連衆中、不残御状被下候へ共、別状無御座、事重り候へば、つらりと御断り、貴様へまかせ申候間、可然奉頼候*。昌房は御内方ふしぎに本復故、其悦申入候*。以上
    正月三日                          はせを
  正秀雅丈
  猶々近年之内、又こそとたのしみ申し候。先は春か秋の間上京申すまじく候間*、其内御精御出し可成候*

 江戸から膳所水田正秀宛に書いた書簡。膳所門人から来た多数の手紙に返事を書く替りに正秀に代表してよろしく言ってくれるよう依頼している。