哥がるたにくき人かなほとゝぎす (『あら野』)
見やるさえ旅人さむし石部山 (『猿蓑』)
ひる迄はさのみいそがず時鳥 (『猿蓑』)
麥藁の家してやらん雨蛙 (『猿蓑』)
やまつゝじ海に見よとや夕日影 (『猿蓑』)
稲の花これを佛の土産哉 (『猿蓑』)
やまざくらちるや小川の水車 (『炭俵』)
崎風はすぐれて涼し五位の聲 (『炭俵』)
ひるがほや雨降たらぬ花の貌 (『炭俵』)
年よれば聲はかるゝぞきりぎりす (『炭俵』)
御火焼の盆物とるな村がらす (『炭俵』)
待春や氷にまじるちりあくた (『炭俵』)
鶯に手もと休めむながしもと (『續猿蓑』)
ふたつあらばいさかひやせむけふの月 (『續猿蓑』)
木がらしや色にも見えず散もせず (『續猿蓑』)
有ると無きと二本さしけりけしの花 (『續猿蓑』)