芭蕉db

智月宛書簡

(元禄7年8月14日 芭蕉51歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 御みまひとして長蔵*下、ことにはなんばん酒一樽、ふ二十おくりくだされ、忝ぞんじまゐらせ候。
十五日、月見きやく御ざ候ところ、一入一入御うれしくぞんじまゐらせ候。
長蔵もくたびれ可申候まゝ、一日とめ申べくと申候へ共、ぜひかへり可申と申候まゝ、其まゝかへし申候。しらぬ道きどくに能たずね参候。
藤すけ・弁七無事のよし、よろこびまゐらせ候。おせき女郎・お市女郎へよくよく御心得可下候。此方半左衛門、ことのほかよろこび被申、口上に御礼申参候。めでたくかしく
    八月十四日                                 はせを
智月様
尚尚くわし一さほ、これ又忝ぞんじまゐらせ候。打寄たべ可申候*

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 最後の伊賀滞在の夏大津の智月宛に書いた書簡。智月が見舞いと称して下男の長蔵を、「なんばん酒」と麩とお菓子を持たせて伊賀に派遣してくれたことへの謝礼の書簡。これをとんぼ返りした長蔵に持参させたのである。