かわい おとくに
(〜享保5年(1720)1月3日、享年64歳)
有明に三度飛脚の行くやらん (『嵯峨日記』)
亀の甲烹らゝ時は鳴もせず (『ひさご』)
馬かりて竹田の里や行しぐれ (『猿蓑』)
鉢たゝき憐は顔に似ぬものか (『猿蓑』)
すゞ風や我より先に百合の花 (『猿蓑』)
日燒田や時々つらく鳴く蛙 (『猿蓑』)
ばせを葉や打かへし行月の影 (『猿蓑』)
寝ぐるしき窓の細目や闇の梅 (『猿蓑』)
其春の石ともならず木曽の馬 (『猿蓑』)
螢飛疊の上もこけの露 (『猿蓑』)
見る所おもふところやはつ櫻 (『続猿蓑』)
曉のめをさまさせよはすの花 (『炭俵』)
海山の鳥啼立る雪吹かな (『炭俵』)
取葺の内のあつさや棒つかひ (『續猿蓑』)
森の蝉凉しき聲やあつき聲 (『續猿蓑』)
朝風や薫姫の團もち (『續猿蓑』)
行秋を鼓弓の糸の恨かな (『續猿蓑』)
けし畑や散しづまりて仏在世 (『續猿蓑』)