江戸に出てきている大津の乙州への書簡。 乙州が紹介したい市兵なる人との面会希望への返答。上方への決心は定まっているが日程はまだ決まらない時点での書簡。
御手紙忝、両度御書相達し候:<おてがみかたじけなく、りょうどごしょあいたっしそうろう>。お手紙を頂き恐縮しています。二度とも拝受しています、の意。
御鬧敷候間、御無沙汰不レ及レ断候:<おいそがしくそうろうかん、ごぶさたことわりにおよばずそうろう>。お忙しいようでしたので、ご無沙汰の言い訳も致しませんでした、の意。
市兵望之事、夏中に逢可レ申候間、面談に可二申承一候:市兵(市兵衛であろう)の希望については、夏中に会って直接話を聞くことにしましょう、の意。。乙州が市兵衛を芭蕉に引き合わせようというのであろうが、「市兵衛」は誰のことか分からない。入門希望か?
今日折節対客取込候間、早々及二御報一候:<きょうおりふしたいきゃくとりこみそうろうかん、そうそうにごほうにおよびそうろう>。今日は千客万来で取り込んでいるので、手紙も簡略です、の意 。
拙者、持病快気次第発足可レ致候:<せっしゃ、じびょうかいきしだいほっそくいたすべくそうろう>。持病の「疝気」が治ったら、上方へ向かって出発します。