しら芥子にはかなや蝶の鼠いろ (『あら野』)
百舌鳥のゐる野中の杭よ十月 (『猿蓑』)
青くさき匂もゆかしけしの花 (『猿蓑』)
子やなかん其子の母も蚊の喰ン (『猿蓑』)
白雨や蓮一枚の捨あたま (『猿蓑』)
水無月や朝めしくはぬ夕すゞみ (『猿蓑』)
笑にも泣にもにざる木槿かな (『猿蓑』)
あやまりてぎゞうおさゆる鱅哉 (『猿蓑』)
夢さつて又一匂に宵の梅 (『猿蓑』)
はつ市や雪に漕来る若菜船 (『猿蓑』)
道灌や花はその代を嵐哉 (『猿蓑』)
春雨やあらしも果ず戸のひづみ (『猿蓑』)
五月雨や露の葉にもる(やまごぼう) (『炭俵』)
夕がほや裸でおきて夜半過 (『續猿蓑』)
餅つきやあがりかねたる鶏のとや (『續猿蓑』)