芭蕉db

嵐竹宛書簡

(元禄6年8月28日 芭蕉50歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 さてさて驚入たる事を被仰下、いまだ夢現わかち不申候*。頃日*さてさて残念、愁傷兎角不申候*。貴面可承候*。明日御見舞、墓へ成共参可申候。以上
御老母様御介抱専一に候。
    八月廿八日
  松倉文左衛門様                         はせを

 深川芭蕉庵から、嵐蘭急死の報を受けて、その弟嵐竹に宛てた悔みの書簡。嵐竹宛書簡としてはこの一本だけが現存する。嵐蘭は、江戸蕉門最古参の一人であったが、47歳を一期に元禄6年8月27日死去した。本書簡は、その性格上簡潔だが、晩年の芭蕉を襲う不幸に驚愕している様子が行間に滲む1通である。