芭蕉db

嵐蘭宛書簡

(元禄4年2月13日 芭蕉48歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


幸便啓上*、いかゞ被成候哉と御懐敷而巳に候*。御老母様・御内・御子達御息災に御入被成候哉、承度奉存候*。拙者旧冬甚寒殊外痛候へ共*、頃日は又々常之通に居申候間、定而当年中には懸御目に而可御座*。何とぞ何とぞ御堅固成様に被成、今一度再会御待可下候*。拙者も随分保養致候而懸御目度存候*。加右衛門殿無恙御勤被成候哉*、北鯤子*御兄弟無事に候哉、承度存候。定世事御くるしく可成と、是又心をいたましめ候*。御心得被成可下候*
一、膳所御親類中へ被仰遣候由*、御知人に御成可成よし被念候へ共*、去秋の比より膳所へもしかじか不参、大津・京辺に遊び居申候故、いまだ不御意、尤為指用事も無御座候故、其通に致候*。若御袋様などへの咄にも成可申候はゞ、重而御めにかゝり、下り可申候*。 以上
  二月十三日                        芭蕉
  嵐蘭雅上

 江戸の嵐蘭に宛てた書簡。発信地は伊賀上野であろう。嵐蘭が江戸の近況を知らせてきて、彼の親戚が膳所にあるので知り合いになってはどうかという勧めをしたことへの謝礼が述べられている。
 また、北鯤兄弟への心遣いなどもあり、芭蕉のやさしさが込められている書簡。