鶯の声の下なる湯殿かな
あすと云花見の宵のくらき哉 (『炭俵』)
(『炭俵』)芋喰の腹へらしけり初時雨 (『炭俵』)
藪疇や穂麥にとヾく藤の花 (『續猿蓑』)
物よはき草の座とりや春の雨 (『續猿蓑』)
虫の喰ふ夏菜とぼしや寺の畑 (『續猿蓑』)
此中の古木はいづれ柿の花此筋
底冷えやいつ大雪の朝ぼらけ
若草や松につけたき蟻の道 (『續猿蓑』)
苗札や笠縫をきの宵月夜 (『續猿蓑』)
此中の古木はいづれ柿の花 (『續猿蓑』)
蘭の花にひたひた水の濁り哉 (『續猿蓑』)
麥の穂と共にそよぐや筑波山 (『炭俵』)
しら梅やたしかな家もなきあたり (『續猿蓑』)
元日や夜ぶかき衣のうら表 (『續猿蓑』)
年切の老木も柿の若葉哉 (『續猿蓑』)
鶯や貌をみられて笹の影千川
雪の夜や布子かぶれば足の先
折々の時雨伊吹はぬらせども
炭の火の針ほど残る寒さかな
じか焼や麥からくべて柳鮠 (『續猿蓑』)