朝霜や師の脛おもふゆきのくれ
(『笈の小文』出発時の芭蕉への想い)寒きほど案じぬ夏の別れ哉
(元禄元年5月11日芭蕉最後の江戸出立を見送って)ちからなや膝をかかえて冬篭り
(芭蕉の死の報に接して)麦畑や出ぬけても猶麦の中(元禄7年5月8日芭蕉最後の江戸出立の折)
長松が親の名で来る御慶哉 (『炭俵』)
さみだれに小鮒をにぎる子供哉 (『炭俵』)
はつ雪にとなりを顔で教へけり (『炭俵』)
小夜時雨となりの臼は挽きやみぬ (『炭俵』)
みなみなに咲そろはねど梅の花 (『炭俵』)
七種や粧ひしかけて切刻み (『炭俵』)
猫の恋初手から鳴て哀也 (『炭俵』)
うぐひすや門はたまたま豆麩賣 (『炭俵』)
五人ぶちとりてしだるゝ柳かな (『炭俵』)
はき掃除してから椿散にけり (『炭俵』)
祭まであそぶ日なくて花見哉 (『炭俵』)
食の時みなあつまるや山ざくら (『炭俵』)
日半路をてられて來るや桃の花 (『炭俵』)
法度場の垣より内はすみれ哉 (『炭俵』)
雲霞どこまで行もおなじ事 (『炭俵』)
衣がへ十日はやくば花ざかり (『炭俵』)
子規顔の出されぬ格子哉 (『炭俵』)
麥畑や出ぬけても猶麥の中 (『炭俵』)
さみだれに小鮒をにぎる子供哉 (『炭俵』)
夕すヾみあぶなき石にのぼりけり (『炭俵』)
行雲をねてゐてみるや夏座敷 (『炭俵』)
盆の月ねたかと門をたゝきけり (『炭俵』)
石臺を終にねこぎや唐がらし (『炭俵』)
小夜しぐれとなりの臼は挽やみぬ (『炭俵』)
蜂まきをとれば若衆ぞ大根引 (『炭俵』)
人聲の夜半を過る寒さ哉 (『炭俵』)
はつ雪にとなりを顔で教けり (『炭俵』)
餅つきや元服さする草履取 (『炭俵』)
年のくれ互にこすき錢づかひ (『炭俵』)
ちり椿あまりもろさに續で見る (『續猿蓑』)
この比の垣の結目やはつ時雨 (『續猿蓑』)
手まはしに朝の間凉し夏念仏 (『續猿蓑』)
金屏の松の古さよ冬篭り (『許六宛芭蕉書簡』)