・常に芭蕉の軒に行かよひ:この三人は、常日頃芭蕉庵を訪ねて、の意。
・瓦の窓をひらき心の泉をくみしりて:「瓦の窓」には、@
土を焼き固めてつくった窓。A 貧者や隠者の住居。また、そこに住む人(『大辞林』)とある。ここはAである。芭蕉に会って教えを受けている、の意。
・くぬぎ炭のふる哥をうちずしつるうつりに:「契りあれや知らぬ深山のふしくぬぎ友となりぬる閨<ねや>の埋火」(夢庵)という古歌を打ち誦し(詠んだ)際に、の意。このときに芭蕉が「炭俵」というのは既にして俳諧なのだなと一人で納得していたというのである。
・元禄七の年夏閏さつき初三の日:元禄7年閏5月3日。この日には芭蕉は伊賀上野に居た。よって、芭蕉は本撰集の最終点検をしていないことになる。ただし、出版は同年6月28日京都寺町・書肆井筒屋庄兵衛であり、この直後の7月5日には芭蕉も京都に滞在していたから刷り上りは見ているものと思われる。
(since:1997/11/20)