梅が香や砂利敷流す谷の奥 (『猿蓑』)
棹鹿のかさなり臥る枯野かな (『猿蓑』)
おもしろう松笠もえよ薄月夜 (『猿蓑』)
この比のおもはるゝ哉稲の秋 (『猿蓑』)
梅が香や砂利しき流す谷の奥 (『猿蓑』)
かげろふやほろほろ落る岸の砂 (『猿蓑』)
荷鞍ふむ春のすゞめや縁の先 (『猿蓑』)
むめちるや糸の光の日の匂ひ (『炭俵』)
近江路やすがひに立る鹿の長 (『炭俵』)
鮎の子の心すさまじ瀧の音 (『續猿蓑』)
Kぼこの松のそだちやわか緑 (『續猿蓑』)
鶯に橘見する羽ぶきかな (『續猿蓑』)
職人の帷子きたる夕すヾみ (『續猿蓑』)
明ぼのや稲づま戻る雲の端 (『續猿蓑』)
冬梅のひとつふたつや鳥の聲 (『續猿蓑』)
漸に寐所出來ぬ年の中 (『續猿蓑』)
植竹に河風さむし道の端 (『續猿蓑』)
月添ひてかなしさこぼる萩すすき