恥もせず我なり秋とおごりけり (『あら野』)
焼にけりされども花はちりすまし (『猿蓑』)
しら露もまだあらみのゝ行衛哉 (『猿蓑』)
かまきりや引きこぼしたる萩の露 (『雪丸げ』)
かたまらぬ角おもげなり夏の鹿
われ鐘のひヾきもあつし夏の月
柿の袈裟ゆすり直すや花の中 (『炭俵』)
くる秋は風ばかりでもなかりけり (『炭俵』)
朱の鞍や佐野へわたりの雪の駒 (『炭俵』)
一田づゝ行めぐりてや水の音 (『續猿蓑』)
竈馬や顔に飛つくふくろ棚 (『續猿蓑』)
しくれねば又松風の只をかず (『續猿蓑』)
笠提げて墓をめぐるや初しぐれ (『 去来抄』)