芭蕉db
去来宛書簡(元禄7年1月29日)
腫物に柳のさはるしなへ哉
(はれものに やなぎのさわる しなえかな)
其仕かた賤敷凡情を顕し候事、御とがめ尤もに被存候:荷兮らのやり方のアンフェアなことを、貴方が非難するのは尤もであります、の意。
萬世に俳風の一道を建立之時に:永遠の俳諧文学を打ち立てようとしているときに、荷兮ら凡人のやることなどどうでもいいではないか、の意。芭蕉の俳諧にかける情念が吐露されている。
野坡三つ物御覧可二成被一レ申哉:<やばみつものごらんになりもうさるべくや>と読む。野坡の三つ物は御覧になりましたか、の意。
沾圃三つ物進レ之候:<せんぽみつものこれをしんじそうろう>と読む。沾圃の三つ物をお送りしましょう、の意。
善(膳)所正秀一組、扨々肝をつぶし、奇特千万大悦仕事に御座候:<ぜぜまさひでひとくみ、さてさてきもをつぶし、きとくせんばんだいえつつかまつることにござそうろう>と読む。正秀の歳旦吟が大変よかった、というのである。これは、『曲水宛書簡』でも同様に評価している。