年始之貴墨、忝致二拝見一候:<ねんいしのきぼく、かたじけなくはいけんいたしそうろう>と読む。
愈御無異、御家内・御子達御息災に御重年之事共、珍重候:<いよいよごぶい、ごかない・おこたちごそくさいにごじゅうねんのことども、ちんちょうにそうろう>と読む。
愚夫不レ相替春をむかへ申候:<ぐふあいかわらずはるをむかえもうしそうろう>と読む。私も元気に新春を迎えました、の意。
正秀には我を折申候:正秀は膳所の水田正秀のこと。正秀の三つ物の出来のよさに感服したというのである。他の書簡にも同様の記述がある。
京板:京都の出版社井筒屋庄兵衛
発行を指す。
伊勢に知人音づれてたよりうれしきとよみ侍る慈鎮和尚の歌より:慈鎮和尚の歌「このごろは伊勢に知る人音づれてたより色ある花柑子かな」を引用。芭蕉の引用と細部が異なるのは芭蕉の記憶ちがいか、芭蕉持参の『拾玉集』のミスプリントであろう。
便りの一字うかゞひ候:「・・初便」は慈鎮の歌の「たより」を一字頂いたものです、の意。
去年は当府に御入:去年は貴方は江戸に居られましたね、の意。曲水の江戸勤番は元禄5年以来約1年間であった。
まれまれなる雑煮を御振舞申候:風変わりな雑煮で貴方におもてなしをしましたね、の意。
竹助殿:曲水の息子。
其妹御、見ぬ内より御なつかしく候:芭蕉が膳所を去った元禄3年以後に生まれた曲水の娘で、芭蕉は未だ見ていない。
御染女:<おそめじょ>。曲水の娘。