猿蓑にもれたる霜の松露哉 (『炭俵』)
一日は花見のあてや旦那寺 (『續猿蓑』)
八重櫻京にも移る奈良茶哉 (『續猿蓑』)
蓬莱の具につかひたし螺の貝 (『續猿蓑』)
搗栗や餅にやはらぐそのしめり (『續猿蓑』)
淀よりも勢田になけかし子規 (『續猿蓑』)
郭公かさいの森や中やどり (『續猿蓑』)
冷汁はひえすましたり杜若 (『續猿蓑』)
昼がほや日はくもれども花盛 (『續猿蓑』)
立寄ればむつとかぢやの暑かな (『續猿蓑』)
五月雨や踵よごれぬ磯づたひ (『續猿蓑』)
姨捨を闇にのぼるやけふの月 (『續猿蓑』)
たなばたをいかなる神にいはふべき (『續猿蓑』)
はつ茸や塩にも漬ず一盛 (『續猿蓑』)
そのつるや西瓜上戸の花の種 (『續猿蓑』)
沖西の朝日くり出す時雨かな (『續猿蓑』)
八専の雨やあつまる菊の露 (『續猿蓑』)
狼を送りかへすか鉢たゝき (『續猿蓑』)
俎板に人参の根の寒さ哉 (『續猿蓑』)
涅槃像あかき表具も目にたゝず (『續猿蓑』)
やま伏や坊主をやとふ玉祭 (『續猿蓑』)
柚も柿もおがまれにけり御影講 (『續猿蓑』)
我蒲團いたヾく旅の寒かな (『續猿蓑』)