佛より神ぞたうとき今朝の春 (『あら野』)
だまされし星の光や小夜時雨 (『猿蓑』)
霜やけの手を吹てやる雪まろげ (『猿蓑』)
大どしや手のをかれたる人ごゝろ (『猿蓑』)
入相のひゞきの中やほとゝぎす (『猿蓑』)
縫物や着もせでよごす五月雨 (『猿蓑』)
夕がほによばれてつらき暑さ哉 (『猿蓑』)
月見れば人の砧にいそがはし (『猿蓑』)
はるさめのあがるや軒になく雀 (『猿蓑』)
迷ひ子の親のこゝろやすゝき原 (『猿蓑』)
桃柳くばりありくやをんなの子 (『猿蓑』)
夕がほによばれてつらき暑さ哉 (『猿蓑』)
笄もくしも昔やちり椿 (『猿蓑』)
欄干に夜ちる花の立すがた (『猿蓑』)
石山や行かで果せし秋の風 (『猿蓑』)
春の野やいづれの草にかぶれけん (『続猿蓑』)