膳所の義仲寺から京都凡兆の妻羽紅(おとめ)宛ての書簡。羽紅が手紙と腰当ての綿を贈ってくれたことへの礼状。また、彼女が乙州の姉(母)智月にも何かメッセージを送ったのであろう。その、智月からの言伝などを書く。
芭蕉は、この直後に上京して、そこから『奥の細道』以来の江戸下向に出立することになる。
御文、ことにこしあてのわた:腰にあてて寒さをしのぐ防寒具。
菊にこそきせ作る折しもなるにと:旧暦九月九日は重陽の節句。この日、菊の花には真綿の帽子をかぶせた。これも菊の防寒、の意。
さいどの:凡兆・羽紅夫妻の娘。