芭蕉db

曲水宛書簡

(元禄7年2月23日 芭蕉51歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


御発句も珍重、入集可申由、桃隣辱がり申候*
一、乙州東下の由告申候*。一封相認置候處、御細翰再々まで相達し、拝誦再覧*、錦繍をつらね(ぬ)べく候*。まことに扶桑一番に候*。風雅湖水に所を得たる事なるべしと、感吟跳躍不覚候*。猶熟覧の後、仔細脇書可仕候*。何とぞ年内到着、貴亭開青眼頤をほどき申度奉存候*
一、路通事、段々と被仰下度候*。兎角理の上に申事無難不次に存候*。いま爰元へは兎角の沙汰申ひろげず候*
一、正秀方より我里に書ちらしたる細書*、是一封したヽめての後相届可申候*
一、発句共書付越申候*。兎に角作者にて御座候*。是は跡より返翰可仕候。風雅の押懸迷惑のほど申越候*。今日は草臥候間、先筆を留申候*
    二月二十三日                                はせを
  曲水雅士

kaisetsu.gif (1185 バイト)

 深川芭蕉庵から、膳所の菅沼曲水に宛てた書簡。芭蕉が最後の帰郷をする予定であることが既定の事実として記されている。冒頭部分が短く、いきなり箇条書きになっているように、書簡として不調和なことから、この書簡にも欠落があるらしい。