芭蕉db

たわみては雪待つ竹の気色かな

(真蹟自画賛)

(たわみては ゆきまつたけの けしきかな)

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 元禄7年5月21日、芭蕉最後の西上の旅の途次。51歳。大井川の増水で芭蕉は島田に3日間足止めをくらった。塚本如舟に世話になった折の画賛句。なお、このとき、「苣はまだ青葉ながらに茄子汁」・「五月雨の空吹き落せ大井川」・「駿河路や花橘も茶の匂ひ」もここで詠んだ。

たわみては雪待つ竹の気色かな

  竹が頭を垂れてしなっている。まるで間もなくやってくる雪の重みを感じているようだ。
 画賛句で、竹林に雪は描かれていないが、そこを補完するように「雪待つ」としたのは想像である。


愛知県一宮市常福寺境内の句碑。牛久市森田武さん提供