芭蕉db

さればこそ荒れたきままの霜の宿

(阿羅野)

(さればこそ あれたきままの しものやど)

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 貞亨4年、44歳。『野ざらし紀行』の旅の途次杜国を訪ねて。

さればこそ荒れたきままの霜の宿

 いやはや、想像はしていたもののこの杜国の流罪の宿は、すさまじいばかりの荒れ方である。「荒れたき」は荒れたい放題に荒れているという強調を含む。そうでなければ「荒たるまま」とすればよくこの方は尋常な荒模様ということになる。芭蕉が杜国に寄せる想いには希望が込められていたのであったが、来て現実を見ればやっぱり流人の生活は大変なものだと思い知らされたのであろう。それでも芭蕉は、「夢よりも現の鷹ぞ頼もしき」、「麦生えてよき隠れ家や畑村」とも詠んでいる。