尾張名古屋の人。『春の日』に初出。越人の弟子と言われている。『あら野』・『庭竈集』などに入句。
山や花墻根かきねの酒ばやし (『春の日』)
若竹のうらふみたるゝ雀かな (『春の日』)
はなのなか下戸引て来るかいな哉 (『あら野』)
一つ屋やいかいこと見るけふのつき (『あら野』)
若水をうちかけて見よ雪の梅 (『あら野』)
伊勢浦や御木引休む今朝の春 (『あら野』)
かがり火に藤のすゝけぬ鵜舟かな (『あら野』)
わけもなくその木その木の若葉哉 (『あら野』)
五月雨は傘に音なきを雨間哉 (『あら野』)
雪舟引や休むも直に立てゐる (『あら野』)
舟にたく火に聲たつる衛哉 (『あら野』)
炭竃の穴ふさぐやら薄けぶり (『あら野』)
いつこけし庇起せば冬つばき (『あら野』)
はる近く榾つみかゆる菜畑哉 (『あら野』)
田作に鼠追ふよの寒さ哉 (『あら野』)
似はしや白髪にかつぐ麻木賣 (『あら野』)
魂祭舟より酒を手向けり (『あら野』)
鶯も水あびてこよ神の梅 (『あら野』)
宮守の灯をわくる火串かな (『あら野』)
いきみたま疊の上に杖つかん (『あら野』)
千代の秋にほひにしるしことし米 (『あら野』)
遠浅や浪にしめさす蜊とり (『あら野』)