大津から、江戸在勤中の膳所蕉門の曲水に近作を知らせるために宛てた書簡。
いねいねと人にいはれても:路通の句「いねいねと人にいはれつ年の暮」から採った。芭蕉が、他人から追い出されようとしているのではない。
まだ埋火の消やらず:<・・うずみびのきえやらず>と読む。上の「住みつかぬ旅のこころや置炬燵」の句の感覚が消えないうちにこの句を作ったという事情を説明する。
三日口を閉て題二正月四日一:<みっかくちをとじてしょうがつよっかとだいして>と読む。三ケ日は何も句を作らず、4日に、の意。
金平が分別のごとく:<きんぴらがふんべつ・・>と読む。元禄4年の曲水の歳旦句「金平も分別やすむ朝かな」を引いた。