大垣蕉門の如行からの書状に対する返翰。幻住庵から出したものである。全体、『幻住庵の記』に出てくる眺望や位置の説明で、作品の草稿が見えてくる。四国や西国への旅は健康上の理由から諦めたといいながらも断ち切れない想いも表白されていて興味深い。
旧臘之御帖(状)伊賀へ相達シ:<きゅうろうのごじょういがへあいたっし>と読む。「旧臘」は去年の12月。如行が出した手紙は伊賀経由で手許に届いたの意。
頃日尚白より膳所へ被レ届、致二拝見一候:<けいじつしょうはくよりぜぜへとどけられ、はいけんいたしそうろう>と読む。「頃日」は先頃の意。尚白はWho'sWho参照。
歳旦之引付京板之よし:<さいたんのひきつけきょうばんのよし>と読む。「歳旦」は歳旦帖。「引付」は歳旦帖の末尾に載せる友人知人の附録の句のこと。「京板」は京都の書肆である井筒屋庄兵衛書店からの出版を指す。如行の歳旦帖の出版については、の意。
尋候へ共、しかじか見不レ申候間、重而帳一冊、可レ被懸二御意一候:<たずねそうらへども、・・みもうさずそうろうかん、かさねていっさつ、ぎょいにかけらるべくそうろう>と読む。探してみたが手に入らないので一冊進呈して下さい、の意。
越人 :名古屋の門弟。Who'sWho参照。
野水:名古屋の門人岡田氏。Who'sWho参照。