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馬の耳すぼめて寒し梨子の花

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馬の耳すぼめて寒し梨子の花      支考

去來曰、馬の耳すぼめて寒しとハ我もいへり。梨の花とよせらるゝ事妙也*。支考曰、何のかたき事か有らん。吾子の如く、かしらより一すじに謂くださん社難けれと論ず*。曲翠曰 、二子互に得處を易しとし、不得處を難しとす。其論共に尤也。しかれども惣體を謂バ、一すじに謂下さんハ難かるべし*。來曰、翠亦得られざる故也。凡修行ハ我が得處を養ひ、不得處を學バゞ、次第にすゝミなん*。得處になづんで外をわすれバ、終に巧を成すべからず。