芭蕉db

奥の細道

裏見の瀧 元禄2年4月2日)


 廿余丁山を登つて滝有*。岩洞の頂より飛流して百尺、千岩の碧潭*に落たり。岩窟に身をひそめ入て、 滝の裏よりみれば、うらみの滝*と申伝え侍る也 。

 

しばらくは滝にこもるや夏の初

(しばらくは たきにこもるや げのはじめ)


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表紙 年表


 元禄2年4月2日。この日は快晴であった。裏見の滝を見物の後、那須・太田原へ行く。夕刻には、雷雨強烈、塩屋町に到着してそこで一泊。ただし、あまり宿がひどかったので無理に願い出て庄屋の家に泊めてもらった。

 

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しばらくは瀧にこもるや夏の初め

  「夏(げ)」は、 「夏行(げぎょう)」のことで、陰暦4月16日から90日間水垢離(みずごり)などをする僧侶の行(ぎょう)のこと、夏安居(げあんご)とも。「裏見の滝」を見物しながら、まるでその夏行に入ったような気分になった。そういえば、もうそろそろ夏行の始まる季節だ。
  なお、ここでは他に、「ほととぎす裏見の滝の裏表」または「ほととぎす隔つか滝の裏表」などが作句されている。


勇壮な「裏見の滝」


日光市久次良町にある句碑
写真提供:牛久市森田武さん