芭蕉db

奥の細道

黒髪山・曾良)


 黒髪山*は霞かゝりて、雪いまだ白し 。

 

剃捨て黒髪山に衣更  曾良

(そりすてて くろかみやまに ころもがえ)

 
 曾良*は河合氏にして惣五郎と云へり。芭蕉の下葉に軒をならべて、予が薪水の労をたすく*。このたび松しま・象潟の眺共にせん 事を悦び、且は羈旅の難*をいたはらんと、旅立暁髪を剃て墨染にさまをかえ*、惣五を改て宗悟とす。仍て黒髪山の句有。「衣更」の二字、力ありてきこゆ*

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表紙 年表


kaisetsu.gif (1185 バイト)

剃捨てて黒髪山に衣更

元禄2年4月1日。今日は衣更え の日。曾良は、この旅の出発にあたり黒髪を落とし、すでに墨染めの僧衣に衣更えをしたのだが、今日こうして黒髪山で衣更えの日を迎えるのも因縁に違いない。曾良の句 とするが、曾良を印象的に登場させるために芭蕉が作ってここに入れたのである。


黒髪山(日光男体山)

午前中は、快晴だったが、午後には雨模様となり、中宮に到着したころは、黒髪山は雨雲に霞んでいた。(写真と文:牛久市森田武さん。2002年5月19日撮影)