芭蕉db

笈の小文

(豊橋)


 三 川の國保美*といふ處に、杜國*がしのびて有けるをとぶらはむと、まづ越人*に消息して、鳴海より 跡ざまに二十五里尋かへりて、其夜吉田*に泊る。
 

寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき

(さむけれど ふたりねるよぞ たのもしき)


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表紙 年表


寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき

 ここで芭蕉は、旅を遡行して名古屋から豊橋に戻る。目的は最愛の弟子で流罪中の杜国に会うためであり、杜国の後見役を果たしていた越人と行を共にした。この夜、豊橋の宿で、越人としみじみ杜国の暮しぶりについて語り明かしたのであろう。句としては月並みであるが、情感の吐露された作品。


吉田(豊橋市)神明神社にある「寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき」の句碑
(牛久市森田武さん提供)