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芭蕉DB
野ざらし紀行
(茅舍)
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閑人の茅舎
*を
とひて
(つたうえて たけしごほんの あらしかな)
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表紙 年表
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蔦植て竹四五本の
あらし哉
廬牧は、実に小さな庵に閑居していたのであろう。誉めるものとて無い侘び住まいのなかに小さな庭とも言えない地続きの庭園があった。ここに生えている蔦もわざわざ植えたのかどうか怪しい。秋の風は45本の竹薮を思う存分騒がせて通り抜けて過ぎ去っていく。世界を凝縮した廬牧の庵へのとっさの挨拶吟。「野ざらし」の旅中の秀句の一つ。
閑人の茅舎<かんじんのぼうしゃ>:『笈日記』では廬牧亭。閑人なる人は詳細不明の人物で、その俳諧活動も、「せめてその笠みて行んあられ笠」(『枯尾華』所収)が現存する程度。蔦の生えた隠遁の貧しい家(茅舍)に住んでいたか?。竹林と調和して隠者の住いに相応しい。