芭蕉DB

野ざらし紀行

(茶店にて)


 其日のかへさ*、ある茶店に立寄けるに、てふと云けるをんな*、あが名に發句せよと云て、白ききぬ出しけるに書付侍る。

蘭の香やてふの翅にたき物す

(らんのかや ちょうのつばさに たきものす)


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表紙 年表


蘭の香やてふの翅にたき物す

 「吾が名に発句せよ」(私の名てふ<ちょう>にちなんで俳句を作ってください)という要望に応えたのだから、言うまでもなく、「蝶」で答え、この茶店の女主人「てふ」。しからば「蘭」は誰に相当するのだろうか?