芭蕉db

加生(凡兆)宛書簡

(元禄3年8月18日 芭蕉47歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


度々預貴墨候へ共、持病あまり気むつかしく不御報*。昨夜よりも出候*。名月散々草臥、発句もしかじか案じ不申候*。湖へもえ出不申候*。木曽塚*にてふせりながら人々に対面いたし候。各発句有之候。

月見する座に美しき顔もなし

なき同前の仕合にて候*。当(夏?)河原涼の句*、其元にて出かかり候を、終に物にならず打捨候を、又取出し候。御覧可成候。

川風やうす柿着たる夕すゞみ

職人のでしご、感心仕候*。落書もことの外御出かし被成候*。少し気むつかしく候故早々申上候*
     十八日                      はせを
   加生様
去来子より御左右無御座*。御病児いかゞやと無心許存候*

膳所の義仲寺から京都の凡兆(加生)に宛てた書簡。痔の具合が悪く、歩行が困難であること、それでも名月の句を苦吟していることの様子が伺われる。