芭蕉db
   宝生佐大夫三吟に

老の名のありとも知らで四十雀

(許六真蹟書簡/続猿蓑)

(おいのなの ありともしらで しじゅうから)

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 元禄6年10月9日頃。沾圃・其角との三吟歌仙の一句。「月やその鉢木の日のした面」もこの日の句。「宝生佐大夫」は沾圃のこと。

老の名のありとも知らで四十雀

 小さな可愛い四十雀。その名に40歳という中老の名がついているなんて、当人達は全く知らないようだ。歌仙の座敷の外で呑気についばんでいる四十雀を見ての即興嘱目吟か。
 また、この句には、鎌倉時代の女流家人
少将の尼の歌「おのが音につらき別れはありとだに思ひも知らで鶏や鳴くらむ」(『新勅撰集』十三)を鶏を四十雀に(40歳の女の老を隠した色事と読むのは読みすぎか??)俳諧化したとする解釈もある。
 加えて、前詞で沾圃に触れていることから、宝生佐大夫こと沾圃の能役者としての芸を誉めて、四十雀が「40歳」という歳を意識しないで元気はつらつとしているようにあなたの芸はいつまでも若々しい、と解釈する説もある。牽強付会というべきではないか??。